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仮説の冒険 吉田 司

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反逆のホットスポット

と、まぁこんな調子で、これまで何度となく被災地東北の歴史的古層を掘り下げ、敗れた賊軍(奥羽越列藩同盟)の怨念の国だとか、闇深き国、魔の地帯だとかいろいろ言っているが、それは東北を貶めているのではないからね。誤解するなよ。話はその逆で、大震災直後、マスコミが東北を〈震災弱者〉と呼んだことに強い憤りがあるからだ。じゃあ東京にいるメディア、市民は〈震災強者〉かよ……と。

東北は決して弱くはないぞ。ただ敗れ続けてきただけだと。東北よ、日本近代を狂わせたほどの〈魔の力〉を思い出せ。そしてあの無能な〈東京〉国会に向けて攻め上がれ! もう一度「狂え、東北!!!」と。そう、わたしは、作家の中上健次が1977年あの土建政治家。田中角栄のロッキード裁判が始まったころ、おのれの被差別の故郷・和歌山県紀州をルポルタージュして書いた本、『紀州 木の国・根の国物語』(1978年刊行)を想い出しながら、書き続けているのである。

中上_convert_20110624011513_convert_20110624011944_convert_20110624012302


中上は、紀州(紀伊半島)を「大和に平定された隠国(こもりく)」であり、怨念がいまも息づく「闇の国家」だと規定している。

「紀州とは、神武以来の敗れ続けてきた闇に沈んだ国である」
「その敗れた者らは、物の怪として語られてある」

敗れた者らとは、たとえば織田信長と武装闘争を繰り返した雑賀孫一。明治政府に対置して無政府共産を樹立しようとした大逆事件の紀州グループたち。

「ここに時間はない。敗れた者がすでに死んでいるのに、山中を車で走り、道を歩く私に、敗れて山中にわけ入り逃げのびようとする者のあえぎ苦しむ姿、死ぬ姿の一部始終が、視える。私は幻視を視ていたのだろうか?(中略)ここは時間の吹きだまりでもある。敗れた者は、太古以来の時間が折り重なったこの隠国に不死の人としてある。魂を叫(おら)ぶ者の声さえきこえればいつでも隠国から、日の国、この現在の日本に眼ざめ出ていく事は可能である」

中上の紀州「闇の国家」論とわたしの東北「怨霊の国家」論は極めて近似している。どちらも「敗れし者の国」の物語である。

たとえば東北でも明治政府に対抗する武装蜂起「福島事件」が起きている。というのもあの東北の幕末戦争=戊辰戦争で敗れた奥羽越のラストサムライの怨念の系譜は、明治時代に入るや、東京(江戸)を占領した薩長藩閥政府に激しく抵抗する東北自立論=東北ナショナリズムの自由民権運動に姿を変えて火を噴くのだが、福島県はその急進派の拠点だった。

1882年(明治15)、数千の農民が県令三島通庸(薩摩閥)の暴政を糾弾し立ち上がったのが、「福島事件」。自由党の河野広中らが内乱陰謀・政府転覆の罪で投獄された。「大逆事件」を28年も先駆ける、反逆のホットスポットだったのだ。-----原子力発電所が林立している福島県は。
(つづく)
*写真は『紀州 木の国・根の国物語』(朝日新聞社刊)の初版カバー
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  1. 2011/06/24(金) 01:20:33|
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