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仮説の冒険 吉田 司

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11 公的扶助に対する2つの道

 生活保護や老親介護について考えるなら、行く道は2つある。マルサスの道か、ブースの道か、である。
 でね、ここでちょっと寄り道・まわり道。面白いクエスチョンをひとつ。ブースの報告書「(4)宗教活動による対応は貴重なエネルギーの消耗であり効果を期待できない」という宗教無効論が出たのとほぼ同時代に、あの有名なマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』(1905年)が公刊されている。こちらは宗教的パトス(情熱)が資本主義成立の背景になったという、宗教有効論だったよな(笑)。
 では、ウェーバーは、マルサス主義かブース主義か。どっちの道を歩いたでしょう? 答えは簡単=ウェーバーはね、近代資本主義は、「長年月の[宗教]教育の結果としてはじめて生まれてくるものなのだ」と述べています。それに必要な「長年月の[宗教]教育」というのがプロテスタンティズムだというわけです。
 そしてその最良のモデルとして彼は、「アメリカ建国の父」ベンジャミン・フランクリンの「時は金なり」という清教徒(ピューリタン=白人プロテスタント)の禁欲主義的市民精神(勤労と倹約)を大きく賛美します。
 フランクリンの考え方とは、次のようなものです。
「時間は貨幣だということを忘れてはいけない。一日の労働で一〇シリング儲けられるのに、外出したり、室内で怠けていて半日を過ごすとすれば、娯楽や懶惰のためにはたとえ6ペンスしか支払っていないとしても。それを勘定に入れるだけではいけない。ほんとうは、そのほかに五シリングの貨幣を支払っているか、むしろ捨てているのだ」

資本主義のほんとうの精神

 ただね、本当にプロテスタントの禁欲主義から資本主義の精神が誕生したか大いに疑問だと、H・G・ガットマン著の『金ぴか時代のアメリカ』(1986年初版)は書いているんだ。フランクリンも次のような人物像だったらしい。
「事実は決してそんなに単純ではなかった。アメリカがまだ前工業的だった時期、工業化しつつあった時期、そして世界第1の工業国家へと成長を遂げた時期、すなわちアメリカ史上のあらゆる時期に、プロテスタント的労働倫理がアメリカの社会構造の中に深く根を張ってはいなかったということを、著名な有力者を含む多くの分野のアメリカ人が、その思想と行動を通じて明らかにしている。(中略)
 ベンジャミン・フランクリン、アンドルー・カーネギー、ヘンリー・フォードを生んだこの国でさえも、非工業的な文化と労働習慣がいつの時代にもはびこり、『プロテスタント的労働倫理』とは相容れない新しく来た労働者(ヨーロッパからの移民/筆者注)によって培われたのである。『名誉、忠実、時間厳守、私的信義、財産の神聖視、約束と契約の道徳的遵守なしには。製造業は栄えるどころか、存続することさえできない』。こう主張したのは、マックス・ウェーバーではなく、ジョン・アダムズ[第二代大統領。在職一七九七~一八〇一年]だった。『知的で誠実、なおかつ決然たる政府』だけが、このような『徳性』と『習慣』を育成できるのだ、とアダムズは信じた。他の建国の父祖たちも、労働諸階層の内部にこのような徳性が欠けていることを心配した。アレクサンダー・ハミルトン[初代財務長官。在職一七八九~九五年]が誕生して間もない共和国を工業化するための壮大な計画を提唱したとき、ある親友は、『神がアメリカに労働者として聖者を、また彼らを導くために天使を送りたまわぬかぎり、この計画を成功にみちびくのははなはだ難しい』と述べた。ベンジャミン・フランクリンも同様な心配をしていた。一七八六年、彼は貧民救済を非難し、イギリス人労働者に規則的な労働習慣が欠けていることを嘆いた。『わが労働民衆は聖月曜日[日曜日の飲酒の結果、労働者が月曜日に欠勤したり、仕事を怠ける場合の表現]を平然と日曜日と同じようにすごしている。協会で安上がりに時間を費やすかわりに、居酒屋で金をかけて時間を浪費する点がちがうだけだ』と述べた。そこでもし救貧院を閉鎖すれば、『聖月曜日と聖火曜日はやがて休日ではなくなるだろう』とフランクリンは信じたのである」
 つまり、フランクリンは低賃金労働者と飲酒の悪習を結びつけ救貧院の閉鎖を主張するような人物であり、そのフランクリンをウェーバーは近代資本主義精神の最良のモデルと絶賛したのである。そう、マックス・ウェーバーはフランクリン的道徳律→マルサス的な「自己責任」(社会福祉の縮小・打ち切り)の道を示した……と言えそうです。まあ、厳密に学術的検討したわけじゃないから、保証はできないけどね(笑)。
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  1. 2013/04/04(木) 23:51:31|
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