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仮説の冒険 吉田 司

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5 非常識なのは民法か、脱地獄か?

 ああ、なんてこった。親には〈孝〉、国には〈忠〉の絶対的扶養義務だってさ! 日本国憲法はマッカーサー憲法といわれるほどアメリカ型民主主義原理を持っているはずなのに、この改正民法887条はまだ明治近代から続くあの古臭くてウンザリする日本的な「家」(家父長制)の思想なんだぜぃ。ワイルドだろ。「家」の歴史・文化なんてとっくの昔に終わっている。なぜ家を存続させるための親と子の〈血縁義務〉だけが絶対化したまま生き続けるのか!?  それをワイルドだ、時代遅れだと返上・放棄することがなぜそれほど世の中から非難轟々の〈悪〉とされるのか。非合理なのはどっちだ。非常識なのはどっちだ。民法か脱地獄か?

 最近、朝日新聞の「ニュースの本棚」欄で作家の大野更紗って人が〈日本型福祉の終わり〉という文章を書いている。

「戦後社会を支えてきた『日本型福祉』。その二本柱である『家族内福祉』と『企業内福祉』の瓦解(がかい)は指摘されて久しい。時間は、とっくに切れている。
 これまでのやり方は、急速にうまくゆかなくなる。途方もない人口動態のインパクトがやってくる。2020年には65歳以上の老年人口は3600万人を突破 する。60年ごろにはこの傾向はピークをむかえ、人口の約40%、約2・5人に1人が65歳以上になると予測されている。日本は近代国家が経験したことの ない、未知の超高齢化社会をむかえうつのだ。(中略)今日、『家族の革命』が進行している。『核家族』は『典型』ではなくなる。『核家族』というユニットの維持に必要な費用を1人で稼げる男性は、残念ながら、もうそう多くはいない。
『非典型』とされてきた異種が交錯するようになる。結婚しない同棲(どうせい)カップル、単身世帯、ひとり親世帯。家族はゆらぎ、これまで女性が家族内で担ってきた福祉は、民間または公的サービスへの外部化を迫られる。
 財政逼迫(ひっぱく)を理由に公的サービスを減らしても保育や介護のニーズが消えるわけではない」(朝日新聞、2012年8月19日)

 いまの非正規雇用の格差社会ではマイホーム(核家族)さえ築けない=「結婚できない」現実が大手を振ってまかり通っているってお話だ。『家族の革命』ではなく反革命が進行しているのだ。では、どうするか? まずその反革命の進行を許さない社会常識の防波堤を築くこと=戦後日本のサラリーマンや労働者がつくりあげた社会的権利を防衛する政治的・文化的ムーブメントが必要だ。《ひとは経済のみにて生きるにあらず》という相互扶助・互助社会の精神回復運動が必要なのだ。社会保障の分野で言えば、家族内ストックも施設も破綻したニッポンの在宅介護の現実を直視し、887条の介護義務を廃止すること。公的救済を優先し、老老・老親介護のために離職せねばならない何十万人の40~50代サラリーマン・労働者を解放することだ。まず、彼らを社会に戻せ!

 2012年の憲法記念日の朝日新聞社説からも援用しよう。

「子どもの貧困率は、経済協力開発機構(OECD)の平均を上回り、7人に1人が苦しい暮らしを強いられている。
 主な理由は、ひとり親世帯の貧しさだ。2000年代半ばの各国の状況を比べると、日本ではその6割近くが貧困に陥り、30カ国の中で最も悪い。『1億総中流』とうたわれたのは、遠い昔のことのようだ。
 原因は何か。OECDは次のような診断を下している。
 第一に所得の少なさである。著しく賃金が低い非正規労働が急速に広がり、とりわけ母子家庭の母親の多くが低賃金を余儀なくされている。
 第二に所得再分配のゆがみである。社会保障が年金や医療、介護など高齢者向けに偏り、子どもを持つ世代、特に貧困層への目配りが弱い。このため、いまの税や社会保険料の集め方、配り方では、子どもの貧困率がいっそう高まる現象が日本でのみ起きている。
 正社員の夫の会社が、家族のぶんまで給料で面倒を見る。専業主婦かパートで働く妻が子育てを担う。それが、かつて「標準」とされた家庭像だった。
 国が幅広く産業を支援し、高齢者に配慮すれば、多くの人が「中流」を実感できた。
 だが、会社と家庭に頼る日本型福祉社会は壊れている。前提だった経済成長、会社倒産の少なさ、離婚の割合の低さなどが揺らいだからだ」

 強調した戦後日本のサラリーマン家族の安定性を支えたのは、「日本型資本主義」と呼ばれたものだった=官僚統制型の護送船団方式(親方日の丸株式会社)とも呼ばれていたから、まだ記憶している人も多いだろう。「終身雇用」「年功序列賃金体系」「企業内福利厚生制度」の3点セットで1960~1980年代まで抜群の成長率・競争力を誇った。しかし、バブル崩壊後の2000年代、小泉新自由主義改革=イギリス・アメリカの自由競争型資本主義(市場原理主義)への転換によって、潰された。
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  1. 2013/03/02(土) 13:14:33|
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