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仮説の冒険 吉田 司

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3.11以後を見る第3の目 その5

3月16日に記した文章とは、こんなのだ。

われらがトモダチ作戦のアメリカが、右手で東日本の被災者を救援する、その左手で何をやっているのか。あなたは知っているか、東北の友よ。2010年イランの約三万台の産業コンピュータがサイバー攻撃を受け、稼働寸前のプシュール原発のパソコンも不正ソフトに感染した。

「産業制御システムを乗っ取るコンピュータウィルス『スタクスネット』……。米紙ニューヨーク・タイムズは、イランのウラン濃縮を妨害する狙いで、イスラエルがスタクスネットの試験を行なっていたと報じた。開発には米国も協力していたという。(中略)これまでは少数のサイバーテロ集団による攻撃が想定されてきたが、国家が関与したとすれば新たな『サイバー戦争』の段階に入った表れと位置づけられる」(朝日新聞2011年1月17日付)

 つまり福島原発事故のような惨劇は別に自然の脅威「無常の力」(TSUNAMI)などなくてもコンピュータひとつで人工的に起こすことが可能になる時代をわれらのトモダチは開拓しつつあるのだ。フクシマの悲劇がこれからどこまで拡大するか。ハマオカ(浜岡原発)の危機まで連動するのか??? 日本の未来はまだマッタクわからぬが、この神を恐れぬトモダチの左手の暴走を止めることが、ヒロシマ・ナガサキ・フクシマの三つの原子の火を浴びたわれら日本人の役目ではないのだろうか。放射能下でふるさとを失い流浪する東北の友よ。(『荒蝦夷』特集号)


この文章の半月あまりあと、朝日新聞の「The column」(4月10日)のこの記事が続いた。

「核問題に詳しい米科学者連盟のチャールズ・ファーガソン会長。米政府の核テロ対策部局などの顧問をつとめる彼は、原発を堅牢にするだけでは太刀打ちできない、サイバーテロを危惧する。関連するコンピュータに侵入し、主電源や予備電源などを一気に停止させて、放射能放出をもたらすテロだ。さっそく、これを防ぐ研究チームを立ち上げるつもりだ。
 国防面からの懸念も指摘される。ある国が、たくさんの原発を運転中だとする。ミサイルなどで原発が次々と攻撃され、放射能汚染が広がれば、国中が大混乱になる。いわば、原発の放射能兵器化だ。福島での事故は、原発攻撃の脅威を軍事関係者に印象づけた……。イスラエルのネタニヤフ首相は事故を発生の数日後、原発建設計画を見直す考えを示した」


それからは、矢継ぎ早に何処の誰ともわからぬコンピュータからのハッカー攻撃・サイバーアタックの雨あられ日本やアメリカ、世界各地に降り注いだ。以下、年表風に事例を羅列する。

▼7月15日 「サイバー空間 第5の戦場」……米国防総省は、サイバー攻撃などから米政府や民間企業を守るための新戦略を発表。サイバー空間を新たな「戦場」と位置づけ、深刻な攻撃に対しては軍事力で応じる方針。地球規模のサイバー空間を防衛するため、日本など同盟国との協力を重視する。
「我々はサイバー空間を陸、海、空、宇宙空間と同じ戦域として扱う」(リン国防副長官)……米軍事産業のネットワークからの兵器関連情報の盗難も相次いでおり、(中略)中国については「あらゆる面で桁外れの戦力を持つ国で、サイバー分野も例外ではない」と指摘した。(朝日新聞)
なお、雑誌『SAPIO』(10月5日号)の「アメリカの中国研究」にも、その中国のサイバー能力の高さが次のようにレポートされている。
「米側の最近の公的な報告でも、「2010年4月8日に中国側組織が全世界のインターネット情報の15%を18分間、中国国内へのサーバーへとハイジャックすることに成功し、その情報にはアメリカの軍や政府のインターネット交信も大量に含まれていた」

▼9月23日 「韓国政府へのサイバー攻撃」……韓国で3月、大統領府や在韓米軍、銀行など国内主要約40機関がサイバー攻撃を受け、ホームページの閲覧が困難になった事件で、日本国内のコンピュータ3台も攻撃に悪用されていた。……北朝鮮による攻撃と発表。70カ国746台のコンピュータが攻撃指示に使われ、指示を受けた約10万台が攻撃を繰り返していた。

▼10月24日 「三菱重工へのサイバー攻撃――軍事・原発情報流出か」……三菱重工へのサイバー攻撃は8月に発覚。潜水艦や護衛艦を建造する神戸造船所や長崎造船所、ミサイル関連製品を製造する名古屋誘導システム製作所(愛知県小牧市)など計11カ所でサーバーとパソコン計83台がウイルスに感染していた。……流出した可能性がある軍事情報は三菱重工が防衛省から受注した戦闘機やヘリコプターなどに関するもの。原発情報は、三菱重工がかかわった原発の設計や設備、耐震に絡む情報が含まれている。(朝日新聞 斜線強調部筆者)

▼10月25日 「衆院にサイバー攻撃――議員パスワード盗難」……衆議院の公務用パソコンや衆院内のサーバーが今年7月以降、サイバー攻撃を受けてコンピュータウィルスに感染し、議員ら衆院ネットワーク利用者のIDとパスワードが盗まれた……。衆院のネットサーバーには衆院議員約480人と……計約2660人分のパスワードなどが入っている。(中略)問題のウイルスは『トロイの木馬』と呼ばれる種類で、中国国内のサーバーからパスワードなどを盗み出すプログラムを呼び込む役割を果たしたという。

▼11月4日 「ロンドンでサイバー空間に関する国際会議」……サイバー犯罪を「経済、社会福祉に対する深刻な脅威」と認定。政府間の信頼構築へ努力することを確認。米英、日本は2001年のサイバー犯罪条約(日本は署名のみ)の拡大を主張。中国・ロシアはネット上の言論統制……を提案。ロシアはネット上にも国家主権があると強調した。

急激に増大する(おそらくは中国を中心とした)日本へのサイバーアタックの被害に悲鳴を上げ、とうとうたまらずに朝日新聞は「サイバー戦に備えよ」と題する中国軍「解剖」特集を組んだ。

▼11月7日 「サイバー戦に備えよ」……中国軍がいま、「見えない戦争」に向けた準備を進めている。
「『全世界を覆うサイバー空間を制する者が戦争の主導権を握る』。中国国防大で情報戦に携わる司光亜・大佐はこう話した。敵国司令部をマヒさせ、作戦遂行能力を奪うといったサイバー戦争が現実味を帯びる中、サイバー空間を「海洋以上に大切な安全保障のとりで」と位置づける。(中略)
 中国軍は2005年ごろ、本格的にサイバー戦に取り組み始めた。各部門にサイバー対抗部隊を設け、数万人が携わっていると見られる。(中略)軍情報工程大学長の王正徳・少将は2009年にまとめた『情報安全管理論』で、領土・領海・領空に加えてネット空間にできた新たな『国境』を守ることが国家主権の核心とした。
中国のネット利用者は世界一の約5億人。ハッキングも盛んで、日本に対するサイバー攻撃は、満州事変など日中の戦争にからむ日にはふだんの約8倍に跳ね上がる・中国最大とされるハッカー組織『中国紅客連盟』は昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の際、日本の首相官邸や官庁への攻撃を呼びかけた。(中略)
大衆を動員したゲリラ戦が特徴の人民戦争論。中国のサイバー戦略は、かつて毛沢東が提唱した理論に重なる」

とまあ、3.11フクシマの原発事故以降のサイバー空間の拡張ぶりをるるメモってみたが、例えば10月24日付の三菱重工への中国からのサイバー攻撃(*アメリカ説もある)ではm原発の設計図が盗まれた可能性がある。とすれば、中国は今後いつでも三菱製原発のシステムダウン(→放射能流出の可能性)をコンピュータ操作できるということになるのだが、こんな文章を書いていたら、ニュースで、東京電力を含む電力8社が「標的型メール」のサイバー攻撃を受けていたことが明らかになったと報じられた。それは原子力発電所に限らず日本の電力網全体が“サイバー戦争”の空間に組み入れられたことを物語る。日本が一瞬にして大停電の暗闇に追い込まれ、物流網はズタズタに寸断され家庭電化生活は根底から破壊される日がSF小説ではなくリアルな物語となり始めている。

今年の3月31日に発売されたリチャード・クラークとロバート・ネイクの『世界サイバー戦争』は、2009年アメリカの情報機関が米マスコミにリークした記事によれば、「中国のハッカーが米電力供給網の管理システムに不正侵入し、送電を停止するためのツール(論理爆弾)を仕掛けていた」と書き、繰り返し〈電力網〉の危機を警告している。リチャード・クラークはただのジャーナリストではない。ブッシュ前政権で9・11以後のサイバースペース・セキュリティ担当大統領補佐官だった。ハーバード大学ケネディスクールで教えている安全保障の世界的大家だという。

そのリチャードがこう言う。「アメリカ本土にテロリストや兵士を送り込む必要はまったくない。……高度なサイバー攻撃を敢行すれば、たった15分間でアメリカは大混乱に陥る」。なぜなら、「論理爆弾」が全米各地で爆発すれば「大停電」に呑み込まれる。精油所は炎上、有毒ガスが都市を襲う。地下鉄事故が起き、航空機の空中衝突、通信衛星は制御不能。「電力供給の早期再開も望めない。なぜなら、原子力発電所では原子炉が安全装置によってロックされ、従来型の発電所でも発電機が復旧不可能なダメージを負っているからだ。……ATMから現金が引き出せないため、アメリカ人は商店からの略奪を始める」と。

だけど、筆者強調部の「原子炉が安全装置」が役に立たなかったのが、フクシマの原発事故なわけで、そうした“原発の常識”を超えた今回の原子炉の弱点を握りたい……というのが10月24日の三菱重工へのサイバー攻撃の目的だったように思えてくる。その弱点なら、中国ならずともアメリカだって知っておきたい極秘情報だ――なにしろ日本の「原子力ムラ」の情報開示(封建的閉鎖性)ときたら世界中からブーイングが連発しているくらいだからね。

さらにリチャード・クラークのサイバー・セキュリティ理論を紹介しよう。7月の雑誌『en-taxi』にわたしがレポートした『世界サイバー戦争』の書評の加筆再録だ。なぜロシアが「ネット上にも国家主権がある」と主張し、中国が「ネット空間にできた新たな『国境』を守る」などと奇妙な切断〈切る力〉を力説するのかが、よくわかってくるだろう。インターネットとはもともと国境を超える力〈つなぐ力〉として生まれてきたはずなのに……ね。

現在高度な能力を持つサイバー部隊を保持しているのは、米、中、ロ、仏、イスラエルや北朝鮮など二十~三十ヶ国。日本には(公的には)そうしたサイバーコマンドは存在していないという。興味深いのは、これらの“サイバー戦国大名”のうちで一番強力な国はどこかというと、クラークが「北朝鮮」と答えていることだ。確かに攻撃能力だけでいえば、アメリカが一番強い。しかし、アメリカの国内脳泳力は「たった十五分」しかもたない。なぜなら、サイバーテロの悪魔は、インターネットを通ってやってくるから、インターネットを生活・産業インフラにしている先進国ほどサイバーテロに弱いのだ。特に新自由主義精神のアメリカではネットセキュリティは民間企業の自由競争=自主防衛にまかされ、国家規制には、かつてビル・ゲイツも反対していた。中国のように緊急時にはインターネットを遮断してしまうということができない。しかもアメリカは「戦争の民営化」で民間の戦争請負会社が米軍作戦をインターネット経由で行なっているのだ。クラークによる「総合サイバー戦争能力の比較表」を参考までに引用しておく。

アメリカ サイバー攻撃力8 サイバー依存度2 サイバー防御力1 計11
ロシア  サイバー攻撃力7 サイバー依存度5 サイバー防御力4 計16
中国   サイバー攻撃力5 サイバー依存度4 サイバー防御力6 計15
イラン  サイバー攻撃力4 サイバー依存度5 サイバー防御力3 計12
北朝鮮  サイバー攻撃力2 サイバー依存度9 サイバー防御力7 計18

つまり北朝鮮が強いのは、サイバー空間がない(未発達)からだ。敵国はあの国をサイバー攻撃できない(笑)。それらを合わせて考えると、二十一世紀のこれからはインターネットが発達していて原子力発電所を多く持っている国ほど危険だという逆説が成り立つ。加えて、サイバー攻撃部隊さえ保持していないのだから、世界第三位の原発大国われら日本の国防力は本格的な電子戦を仕掛けられたら“世界最弱”。やられ放題。「好きにして!」状態となるだろう。

さあ、5月から綴り続けてきたこのブログも次回が最終回。わたしが何を言いたかったのかを書くからね。
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  1. 2011/12/12(月) 02:00:36|
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