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仮説の冒険 吉田 司

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「トモダチ作戦」の正体 その2

さてその小林よしのりへの押し付けプレゼント。わたしは大震災後の3月末、宮城県の出版社「荒蝦夷(あらえびす)」が刊行した震災特集本にこうまえがきのお断りをかかげて、米軍の東北ブーツ・オン・ザ・グラウンド『トモダチ作戦』について、次のように書いた。それをまるごとブレゼントする。

まず、こういうまえがきね。ただしこの文章は今年の3月末、震災直後の文章だということをくれぐれも忘れないでね。半年以上前の文章だ。こんなわたしのセリフから始まる。

「俺はね、もう日本及び日本人を見ていないんだ。岩手県沖に展開している米海軍・第七艦隊の空母『ロナルド・レーガン』の動きしか頭にないんだ。メディアが取材してまわった福島や岩手はもうナショナルな意味での『日本』ではなくなっているのかもしれないぜ。核の放射能汚染の制御困難・不可能性をめぐって世界の〈共同管理〉下に置かれる可能性があると思っているんだ。原発の核システム支配に関する限り、日本国家は事実上もう存在していないかも。モチロン過剰表現だけどな。あるいは非国民的視点(笑)」

そして、小林よしのりに贈る言葉はこうね(笑)。



 二十世紀は原子力(核分裂エネルギー)の世紀だった。核分裂を破壊的な戦争力に使ったのが〈原子爆弾〉、産業力に平和利用したのが〈原子力発電所〉だ。もともと同じ原子の火である。それなのに、われら日本人は大東亜戦争でそのアメリカ〈原爆〉に敗れ、アメリカの〈核の傘の下〉=日米軍事同盟に入り、いままたこの大震災でアメリカ・モデルの〈原発〉事故に敗れつつある。その結果がこの《トモダチ》だ。

「東日本大震災の被災者支援のためオバマ大統領は『トモダチ作戦』と名付けた活動を米海軍に命じ東北日本に派遣した。(中略)米軍は東北沖に到着した原子力空母ロナルド・レーガンのほか、横須賀・佐世保基地所属の艦船など計十四隻を展開させる方針で、沖縄の海兵隊も投入した。(中略)しかし、米海軍第七艦隊は派遣した艦船と航空機について、福島原発の近海から一時退避をした。……低レベルの放射性物質が検出されたためという。空母ロナルド・レーガンは福島第一原発から北東一八五キロの洋上に展開していたが、他の艦船とともに原発の風下に逃れた」(朝日新聞三月十五日)

 こうしたトモダチ米軍の東北支援について北沢防衛相は「陸海空、海兵隊の規模で尽力頂いている。絆の証しだ」との菅直人首相のメッセージを伝えたというが、週刊誌メディアはこう書く。「今や、日本は半ば米軍の占領下にある……。菅さんには統治できないから、その方が早く原発を制圧できると政府高官が喜んでいます」(官邸関係者・週刊文春四月十四日号)。更に米政府は原発施設内でも遠隔操作によって活動できる〈軍事ロボット〉を日本に送り、米軍の放射能被害管理の専門部隊百四十人近くを派遣するという。原発大国フランスからはサルコジ大統領と仏原子力大手アレバのアンヌ・ロベルジョンCEOが来日。アンヌは「フクシマは、日本だけでなく、自分たちの問題と認識している」と全面協力を約束したという。原子力大手アレバは日本の軍需産業色の強い三菱重工業と提携している。つまりここで語られていることは、二つのことである。ひとつは東日本大震災の地震とTSUNAMIのレベルの問題――これの復旧支援は日米「同盟管理」(米軍トモダチ作戦による“半ば占領”)下に入ったこと。ふたつめは原発レベルの問題においては米仏の二大核大国(欧米系資本主義)のコントロール「共同管理」下に入ったとも見られる。

 特にフランスの思潮に注目すべきだろう。フランスはいま中東でカダフィ大佐のリビア空爆の先頭に立っているが、その論拠は「カダフィの大量虐殺からリビア国民を守るため」という《制限主権論》だ。これを東日本大震災に適用せよという主張がヨーロッパ知識人(例えば、ジャック・アタリ)の中にも現れつつあるという。すなわち菅政権の無能によって放射能被曝下にさらされている日本国民を救うため「国家主権を侵犯しても」あえて世界は日本に介入し核の破滅を止めなければならないという主張である。

なんと驚くべきことだろう。欧米系あるいはグローバルな資本主義の眼からすれば、日本とリビアで起こっていることはほとんど差がない。リビアへの軍事介入と日本への平和介入(共同管理)が同じ《制限主権論》の下で行われるとすれば、一体、十九世紀・二十世紀を通じてわれわれが築いてきた近代的国民国家(立憲君主制)とは何だったのだろう……ということになる。

私が「東北はもうナショナルな意味で『日本』ではない。国民国家は事実上もうない……のかも」と過剰表現したのは、そのためだった。いま世界秩序を形成しているのは《パクス・アメリカーナ》というよりは資本主義のネットワーク国家(→組み合わせ自由の多国籍軍)なのだという現実が、今回の東日本大震災(共同管理)の中から黒々と浮かび上がってくる。

そう、あの阪神大震災と今回の東日本大、被災規模は百倍も違うということの他に、もうひとつ決定的にちがっているのは日本の君主(天皇家)の存在感である。阪神の時は天皇陛下と美智子さまが膝つき・ガッツポーズのパフォーマンスで避難所の人々を励まして回り、村山「社会党」政権の無策とあわせて「日本の危機管理システムは天皇家か?」と世界中を驚かせた。あの時まではまだ日本は立憲君主制のかろうじて国民国家足り得たのである。

 しかし今回は、日米「同盟管理」の下に天皇家は宮中で「自主停電」の暗闇に身を置いて国民の安寧を祈るばかりだ。天皇・皇后両陛下に皇太子・雅子さま。秋篠宮ご夫婦が東京などの避難所を励ましておられるが、天皇家の存在感はやはり希薄だ。おまけに今回はナントそれにかわって、「今月中旬に日本を訪問する予定のクリントン米長官が東日本大震災の被災地を訪問する方向で検討……。(中略)松本外相と被災地入りする方向だ。外国閣僚の被災地入りは実現すれば初めて。被災者や『トモダチ作戦』に参加している米軍を激励すると見られている」(朝日新聞四月八日)

 日本列島の“危機管理者”の交替――その光と闇が見事に交差する一瞬に見える。「最後の最後は天皇陛下とともに『祈る』しかない」(週刊ポスト四・一号)とか言ってるマンガ右翼の小林よしのりなんかは、クリントンの東北入り阻止! ぐらいは描くべきじゃないのか。

 それはアメリカの東北巡幸を意味するのだぜ。



というわけで、今回はあの米軍の〈トモダチ作戦〉とは一体何のために行われたのか――それを直視する東日本大震災のもうひとつ別の、オルタナティブな総括論。

非「国民」=非「同調圧力」的な視点で描く東北論だ。
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  1. 2011/10/26(水) 02:04:25|
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