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仮説の冒険 吉田 司

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原発キングは誰だ?

田中角栄は新潟県(越後)の農村飢餓・貧困格差の問題を地方工業都市の建設(農工両全)という形で解決しようとした。農工両全とは、農村と工場=農民と労働者が対立せず、和解し合って栄えてゆく世の中を指している。まぎれもなく戦後ファシズムの課題「労農問題の解決」を角栄は平和主義(*札束乱舞の金ピカ政治と土建国家)のかたちで追求したと言えるのだろうね―――それがどんな近代の陰画=奥羽越の怨念の物語につながっていたのかについては、田中角栄の秘書で懐刀だった早坂茂三が書き残した『怨念の系譜――河合継之助、山本五十六、そして田中角栄』という本に長々と刻印されている。

これがまたメッポウ面白いので、これまた丸ごと引用だ。なお早坂は北海道・函館の生まれと知れ。

「私は、徳川幕藩体制の終焉と、明治政府の登場という歴史の転換点になった北辺の港町で生まれ、育った。『吾は薩長に心許すな』。これは戊辰北越戦争の折り、奥羽越列藩同盟に与した出羽(山形県)戸沢藩の軽輩士族として戦い、敗れた私の祖父亀五郎の遺言である。廃藩置県で俸禄を失い、新天地を函館に求め、家族と津軽海峡を渡った祖父は、がんぜない孫の私を膝に抱いて、薩長勢への怨念を繰り返し耳に吹き込んだ。その呟きを今でも忘れない。

 昭和四十七年(一九七二)の夏、戦後政治史にエポックを画した“角福戦争”の主役は異能鬼才の田中角栄である。『俺の本当の敵は福田赳夫じゃない。奴は上州(群馬県)の平手造酒(ひらて・みき)だ。太刀先は鋭いが、一気に踏み込めば勝てる。厄介なのは岸、佐藤なんだ』と角栄が舌打ちした。時の総理は政界の団十郎と評された佐藤栄作である。実兄の岸信介元総理はA級戦犯、昭和の怪物、自民党右派の総帥として、政界引退後も隠然たる存在感を保持していた。賢兄愚弟は長州(山口県)閥の双璧として福田への政権禅譲を画策し、陰に陽に草莽の民出身の角栄を揺さぶっていたのである。その重圧に田中は耐え続けた。時に田中通産相は五十四歳。側用人で忍びの者、影の者が役割の私は四十二歳だった。

『おやじさん、実は私も…』。祖父との幼児体験を披露して、三つ子の根性百までも、岸兄弟を好きになれない心情を打ち明け、主従で合縁奇縁に笑ったものである。(中略)

 角栄は大正七年(一九一八)五月四日、長岡市に隣接する刈羽郡西山町で馬喰、小作人の子として生まれた。そして、長岡市は戊辰戦争の英傑として名高い河井継之助、第二次世界大戦で米国のハワイ真珠湾(パールハーバー)を奇襲した山本五十六提督の出生地でもある。この三人は奇妙に酷似した歴史の大波に翻弄され、劇的な生涯を閉じた」

そう、この反長州「奥羽越系」の田中角栄が首相となり、1972年日本列島改造(農工両全)をぶち上げ、次に1974年、福田赳夫・大蔵大臣と中曽根康弘・通産大臣を従えて、原子力(核)発電所立地促進のためのあの有名な「電源三法」(発電用施設周辺地域整備法・電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法)を作り出したのである。要するに〈地方に原発を〉作れば地元にはしこたま交付金のお金が入るという仕組みだ。

「米国やEU諸国には、電源三法のようなシステムはない。その意味で電源三法は、依然として世界に冠たる日本的金権システムであり続けている。(中略)電源三法制度は、この狭い日本の国土に発電所とりわけ原子力発電所を林立させるために作られた、利益誘導を旨とする大規模な政治的装置である」(『世界』2011年7月号「電源三法は廃止すべきである」清水修二)

「原発立地自治体の財政は、潤沢なところが多い。原子力発電所建設で得られる『固定資産税』、電源三法による『電源三法交付金』、『核燃料税』が何もしなくても“落ちてくる”からだ」(『エコノミスト』2011年6月14日号)

「原発は『金のなる木』」(同前)であり、その結果、日本列島はアメリカ(104基)、フランス(58基)に次ぐ世界第3位の原発大国に変貌した。

角栄は土建屋だけでなく〈原発キング〉でもあったのだ。だから、福島第一、第二原子力発電所とともに、世界有数の原発銀座である新潟県柏崎刈羽原発(1~7号機・東京電力*中越沖地震で損傷)は、角栄の選挙地盤。生まれ故郷のそばに林立しているのだ。

参考までにここにその福島と新潟の原発立地自治体の財政状況データを『エコノミスト』から抜き書きしておく。なぜ、福島と新潟だけ抜き書きするのかは、おいおい明らかになるだろう。

▼福島第一原子力発電所(福島県)
双葉町 人口7178人
原子力関連の交付金総額 20億5797万円
電力会社分の固定資産税 非公開
歳入総額            58億8200万円

大熊町 人口1万1405人
原子力関連の交付金総額 19億1266万円
電力会社分の固定資産税 非公開
歳入総額            71億1700万円

▼福島第二原子力発電所
富岡町 人口1万5868人
原子力関連の交付金総額 13億2979万円
電力会社分の固定資産税 12億7875万円*
歳入総額            72億0500万円

楢葉町 人口8061人
原子力関連の交付金総額 10億4751万円
電力会社分の固定資産税 30億円程度
歳入総額            49億2900万円

▼柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)
柏崎市 人口9万1577人
原子力関連の交付金総額 46億0459万円
電力会社分の固定資産税 36億1859万円
歳入総額            594億9332万円

刈羽村 人口4892人
原子力関連の交付金総額 14億8099万円
電力会社分の固定資産税 22億7400万円
歳入総額            101億8267万円

原子力関連の交付金は、09年度決算ベース。固定資産税額は11年度予算ベース。*は、09年度決算。
『エコノミスト』2011年6月14日号 77ページの表より抜粋。

(つづく)
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  1. 2011/07/03(日) 00:12:29|
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